遺言
遺言について
相続が開始すると、遺言がない場合、相続人の範囲・相続分等については、法律の規定に従って処理されます(法定相続)。
例えば、子供と配偶者がいる場合は、相続人は子どもと配偶者とされ、子どもが一人の場合、配偶者と子どもの相続分はそれぞれ二分の一ずつとなります。また、子どもが二人の場合は配偶者が二分の一、子どもがそれぞれ四分の一ずつです。子供がいない場合は、相続人の範囲、相続分が違ってきます。これについては、法律が細かく規定しています。
亡くなった方(被相続人といいます)をとりまく生活状況はいろいろです(被相続人の財産形成に貢献した者や面倒をみてくれた者がいたなど)が、遺言がない場合、法律は原則として画一的に処理してしまいますので、被相続人の意に沿わない財産分割の結果が生じてしまう場合があります。
そこで、自分の死後に備えて、遺言書を作成しておくことが重要です。
遺言を残すメリットとして、紛争の回避と自分の思いどおりに財産の処分ができることにあります。 遺言を残す場合、代表的な方法として次の3つがあります。 なお、自由に遺言で遺産分割について指定ができますが、遺留分を侵害している場合は、遺留分減殺請求を後々にされる可能性があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、文字通り自筆で作成するものです。
自筆証書遺言が有効であるためには、遺言の内容全文、日付を自署し、署名、捺印することが必要です。
注意しなくてはならないのは、ワープロやパソコンで作成した文書、代筆したものは自筆証書遺言としては無効になるため、必ず、本人が自筆で書く必要があるという点です。
自筆証書遺言のメリットは、秘密を保てる、費用がかからない、簡便に作ることができる、ということです。
一方、デメリットは、書き方や内容に不備があると、遺言が無効となったり、遺言者の意思どおりに効力が生じず、死後に争いを残すおそれがあり、また、遺言者が紛失したり、そもそも見つからなかったり、隠匿されたりするおそれもあります。ですから、必ずしも安全・確実な方法とは言えません。したがって、弁護士等の専門家に相談するのが安心といえるでしょう。
メリット
- ペンと紙、印があればいつでも書ける。
- 何枚書いても、何度書き直しても費用はかからない。
- 遺言を書いたことを誰にも知られずに済む。
デメリット
- 遺言書に従って実際に執り行う場合は、家庭裁判所の「検認」が必要になる。
- 要式が厳格に定められているため、無効になってしまう危険がある。
- 紛失したり、知らないうちに破棄されてしまうおそれがある。
公正証書遺言
遺言をする場合、一番安全で確実なのが、公証人が作成する公正証書遺言です。
公正証書遺言は次のようにして作成されます。
①証人2人の立ち会いのもとで遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で話す。
②公証人がこれを書面化し、遺言者及び証人に読み聞かせる。
③遺言者及び証人が書面の内容が正確なことを承認した後、各自が署名捺印する(遺言者が署名できないときは公証人がその理由を書いて遺言者の署名に替えることができます)
④公証人が以上の方式に従って作成した旨を付記して署名捺印する。
なお、証人は費用を出せば公証人が紹介してくれますので、必ずしも自ら証人を連れて行く必要はありません。
メリット
- 家庭裁判所での「検認」を必要としない。
- 公証人が原本を保管するため、紛失や改ざんのおそれがない。
- 公証人が作成するため、高い証拠力がある。
デメリット
- 遺言の内容を公証人と証人に聞かれますので、完全に秘密という事にはなりません。
(※但し、守秘義務がありますのでその点は大丈夫かと思います。) - 自筆証書遺言に比べ、作成に費用と手間がかかります。
- 自筆証書遺言に比べ、費用と手間がかかるため書きかえが簡便ではありません。
遺留分
遺言は、死者がその最終的な意思を表示するもので、公序良俗に反しない限りその内容は自由とされています。
一方で、被相続人名義の財産といっても、妻や子といった家族の協力によって得られたものが多く、それらの財産には協力者である家族の潜在的持分が含まれ、また、残された家族の生活を保障するため、被相続人の財産のうちある程度の部分は確保する必要があります。
そこで、たとえば、被相続人が全財産を特定人に譲るという遺言をしても、遺言の効力を一部否定し、一定の相続人に一定割合の相続財産を残さなければならないこととしたのが、「遺留分」制度です。
したがって、遺言をする場合、遺留分に配慮したものでなければ、遺留分をめぐって紛争が生じる可能性があります。遺言を作成する前に、弁護士にご相談ください。
他にどんな遺言があるの?
他には、伝染病隔離者の遺言、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言、外国にいる日本人の遺言などいろいろな遺言があります。それぞれ、遺言の方法がすこし異なったりします。例えば、証人に、伝染病隔離者の場合は、警察官が登場します。在船者の場合は、船長が登場します。いろいろと法律も場面を考えているものですね
まとめ
遺言書は、もめないように作っておくべきです。逆に財産をもらう側の立場の人は、親などに頼んで遺言を書いてもらうべきでしょう。その時は、家族で話し合っておくことが必要です。そして、遺言方式としては、変造などがしにくく安全な公正証書遺言をお勧めします。
この際に、誰が相続人になるのか調べてみたい!どういう財産配分をしたらいいのかわからない・・・
といったケースもあると思いますので、そういうときは専門家の弁護士に聞いてみましょう。きっと、力になってくれます。家系図はなかなか自分では作れませんし、遺言を作ることを理由に、家系図を作ってもらうといいかもしれないですね。余談ですが、その家計図(相続関係図といいます)で、新たな発見がある場合があります・・・。
遺言料金
- 遺言書作成
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弁護士費用
作成内容により異なる100,000円~200,000円(税別) 公正証書作成料 + 30,000円(税別)